2022年にスタートした「NeuCraft(ニュークラフト)」プロジェクトは、AIと伝統工芸の融合を目指す取り組みとして、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、Qosmo、そして京都・宇治の朝日焼との連携により進化を続けています。
発散と収束:デザインプロセスの核心
作品制作のためのデザインにおいて、「発散」と「収束」は重要なフェーズであることを朝日焼松林氏との対話でご教示いただきました。取組初期のNeuCraftでは、多様なデザイン案を生み出す「発散」に焦点を当てていました。しかし、様々なデザイン案を生成できるものの、生成結果のコントロールが難しいという課題がありました。
• 発散:創作者のインスピレーションを刺激するフェーズで、ヒトが思いつかないような画像を生成する
• 収束:生成されたアイデアを理想に近づけていくフェーズで、生成画像を調整する
新たなアプローチ:発散と収束のコントロール
「生成する画像のコントロールが難しい」という課題を克服するため、NeuCraftはテキストや画像を組み合わせて、生成したい画像の方向性を指示できる独自の画像生成モデルを開発しました。これにより、デザイナーが意図する方向性を持った「発散」が可能となり、さらに生成された画像の一部を再生成・変更することで「収束」へと導くツールを実現しました。
人間とAIの協働:大阪・関西万博での展示
朝日焼松林氏の作品が2025年の大阪・関西万博において展示されます。展示される一部の作品のアイデア創出に、過去の作品の画像を学習させた画像生成AIの技術を活用し、作品を完成されました。また、1970年開催の日本万国博覧会(大阪万博)で展示された十四世窯元の作品も展示され、過去の作品と伝統を受け継ぐ現代の新たな作品が鑑賞できます。
プレスリリースはこちら
<出展概要>
名称: 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)
開催期間: 2025年4月13日(日)~10月13日(月)
開催場所: 大阪 夢洲(ゆめしま)
出展ブース:関西パビリオン 京都ゾーン「ICHI-ZA KYOTO(一座きょうと)」
出展テーマ:進化と継承
出展期間: 2025年5月12日(月)~5月18日(日)
今後の展望
従来の取り組みの課題である「生成物のコントロールが難しい」という課題に対し、画像生成モデルの拡張やツールの改良を行い、デザイン創出における重要なフェーズである「発散」と「収束」を実現しました。今後は、画像生成ツールから出力されたデザインに対する松林氏のフィードバックを考慮し、デザイン支援ツールとして使いやすいUIおよびさらに職人やデザイナーの創造性を刺激するような様々なデザインが生成できるようにアップデートしていきます。
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